トランプが学ぶべき「ウクライナにおけるバイデンの過ち」
Foresight World Watcher's 7Tips
今週もお疲れ様でした。ロシアがウクライナ東部ドニプロへ打ち込んだミサイルは、核攻撃が想定されるICBM(大陸間弾道ミサイル)ではなくIRBM(中距離弾道ミサイル)だったようですが、19日に核ドクトリンを改定した直後でもありロシアの核による威嚇の一環と考えられます。アメリカもウクライナに対し、長距離地対地ミサイル「ATACMS」によるロシア領内への攻撃や対人地雷供与を許可しました。アメリカの政権交代という大きな節目が近づく中、ウクライナ情勢が動いています。
戦況はウクライナ東部ドネツク州やロシア西部クルスク州でウクライナの劣勢が伝えられ、ATACMSの在庫の乏しさも指摘されます。こうした状況を踏まえながら、ウクライナへの停戦圧力が強まるとの見方が改めて増えているようです。ロシア・ウクライナ戦争をめぐる2025年の論点を先取りする記事が目につきます。
フォーサイト編集部が熟読したい海外メディア記事5本、皆様もよろしければご一緒に。
Vladimir Putin fires a new missile to amplify his nuclear threats【Economist/11月21日付】
「11月21日の夜明け、ロシアのミサイルが複数、ウクライナ中部の都市、ドニプロに打ち込まれた。[略]少なくともひとつは、新しい、名前のないものだった。6つの弾頭がほぼ垂直に都市に向かって降下し、それぞれから小型の投射物が放たれる様子が複数の動画に映っていた。この謎の兵器は何だったのか?」
「ウクライナ空軍は、ICBMではないかと示唆した。ICBMはほぼ例外なく核兵器と関連付けられており、これまで一度も実戦で使用されたことがない。他の観察者は、射程が中距離(約3000~5500キロ)と大陸間(5500キロ)の境界に位置するミサイル『RS-26』だと指摘した。欧米の政府高官は、今回のミサイルは実験用のプロトタイプではないかと示唆した」
英「エコノミスト」誌のリポート、「ウラジーミル・プーチンが新型ミサイル発射、核の脅威を増幅させる」(11月21日付)に緊張感が溢れていることからもわかるとおり、ロシアがウクライナに向けてICBMを発射したらしいとの第一報は世界に衝撃を与えた。
これに先だってウクライナが、米英から使用を許可されたと見られる長距離ミサイルをロシア領内に向けて発射しており、その報復が行われるとの予想は出ていた。だが、ロシアがICBMを打ったとすれば、それは史上初のICBMの実戦投入となる。
ただし核弾頭は実装されておらず、エコノミスト誌の記事も次のように続く。
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