
今月24日のクリスマスイブ、臨時国会は閉幕を迎えた。夕方開かれた記者会見で石破茂総理は「比較第1党として、他党の皆様方のご意見を丁寧に承り、可能な限り幅広い合意形成を図るように一生懸命努力した」などと「熟議の国会」に努めたことをアピールした。
石破政権は30年ぶりの衆議院に過半数の議席を持たない「少数与党」としてこの国会に臨んだ。与党内では「状況次第で内閣不信任案が通るのでは」という懸念があり“石破降ろし”の勃発の可能性なども取りざたされたが、結果的には補正予算は国民民主党、日本維新の会の賛成を得て成立。石破が最も力を入れた政策活動費の廃止などを柱とする「政治改革関連法」も、企業・団体献金の結論は来年(2025年)3月まで先送りする格好ではあるが成立にこぎ着けた。
「少数与党」ながら、最低限の成果は上げたと言っていい。なぜこの国会を乗り切ることができたのだろうか。一つには自民党内の事情がある。
“健康不安説”の麻生が呟く「予算成立花道論」
政界関係者は語る。
「総選挙で自民が大敗を喫した直後から、石破さんと距離を置く勢力は麻生さんを頼った。しかし、麻生さんが余り動こうとしなかった。臨時国会(11月28日に召集)が始まった直後には姿を見せなくなり、急性肺炎で療養していたという話だ」
自民党総裁選の当日には周囲の議員らに、石破の対抗馬である高市早苗前経済安保担当大臣に投票するよう指示するほど“石破嫌い”を公言している、麻生太郎自民党最高顧問の体調問題があったというのだ。
確かに麻生は「肺炎になって休んでいた」という趣旨の話を周囲にしている。そういった意味では体調が万全でないのは事実なのだろう。麻生氏の健康問題が政界、特に自民党内の大きな関心事であることを図らずも示す出来事が最近あった。
国会閉幕の24日の朝、「肺炎がまた悪化して麻生さんが入院した」などの情報が永田町に飛び交い緊張が走った。その後、麻生氏本人が国会に姿を見せたことでガセであることが判明し、沈静化したのだが、一時はメディアが裏取りに動いたほどだった。
誰がこうした情報をもたらしたのか、発信源は定かではないが、麻生の動向は石破政権の今後を左右する大きな要素であることは想像に難くない。麻生と頻繁に連絡を取る自民党議員はこう語る。

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