セブン&アイ、5月の株主総会を控え“徳俵”

IN-DEPTH【ニュースの深層】

2025年4月3日
タグ: マネジメント
エリア: アジア 北米
アリマンタシォン・クシュタール(ACT社)に賛同するファンドは、セブン&アイの株主としてどのような行動に出るか[記者会見するACT社のブシャール会長(奥右から3人目)ら=2025年3月13日、東京都内](C)時事
デューデリジェンスに着手できず苛立つアリマンタシォン・クシュタール。買収提案は、5月に開催されるセブン&アイの株主総会が山場になるのは間違いない。株価がACT提案水準まで上がらないのは市場が“もう一波乱”、あるいは“二波乱”を予期してか。

「通訳に助けられた」。3月13日、セブン&アイ・ホールディングスに買収を提案しているカナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタール(ACT社)が開いた記者会見を見守ったACT社側の関係者は胸をなで下ろした。ACT社はセブン&アイに法的拘束力のない買収提案をした昨年7月末からこれまで、セブン&アイに対して秋波を送り続けてきた。しかし、デューデリジェンス(資産査定)に着手できないばかりか、セブン&アイの創業家への表敬訪問や面会すらできないでいた。交渉への非協力的な態度に「相当、いらだっていた」(ACT社側の関係者)。

 会見でも会長で創業者のアラン・ブシャール氏は厳しい表情で「残念だ」と語ったが、英語だと「失望に近い『残念』のニュアンス」だったという。随所に厳しいワードが飛び出したが、優秀な通訳がオブラートに包んだ日本語にして、なんとか会見場の緊張を和らげた。ACT社は友好的な買収を目指しており、通訳はそのミッションを完遂したことになる。だが裏返せば、ACT社はセブン&アイの塩対応に堪忍袋の緒が切れる寸前なのだ。

ACTの資金調達に抜かりなし

 セブン&アイはACT社からの買収をなんとかして逃れようとしているものの、M&A関係者からは「もう詰んでいる」との声も出る。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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