「ジャパンエキスポ」と日本の「文化外交力」

執筆者:渡邊啓貴 2009年9月号
エリア: ヨーロッパ

十回目を迎えたフランスの「ジャパンエキスポ」は今年も大盛況。日本ブームを「外交力」に結びつけるためには――。[パリ発]今年もパリに日本の夏がやって来た。七月はじめパリ郊外ノール・ヴィルパントで、今年で十回目となる日本ポップカルチャー見本市「ジャパンエキスポ(Japan Expo)」が開催された。コスプレの若い男女が、まさにマンガ・アニメからそっくり抜け出した格好で会場を闊歩する。もともと日本のマンガ・アニメの主人公たちの体型は欧米人の足長八頭身から来たものが多いので、思わずはっとするような少年少女も発見する。忍者マンガ「ナルト」の人気は今年も健在で、去年同様に会場の真ん中に大きな看板が出ていた。ヴィルパントの広い会場が文字通り夏の暑さと若い人いきれで三十分も立っていると眩暈がしそうなくらいの熱気に包まれていたが、ここでは日本が主人公であるだけに悪い気はしない。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
渡邊啓貴(わたなべひろたか) 帝京大学法学部教授。東京外国語大学名誉教授。1954年生れ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程・パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校・ボルドー政治学院客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員教授、外交専門誌『外交』・仏語誌『Cahiers du Japon』編集委員長、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。最新刊に『アメリカとヨーロッパ-揺れる同盟の80年』(中公新書)がある。
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