国際論壇レビュー

ユーゴスラビアの希望とパレスチナの暗雲

執筆者:田中明彦 2000年10月号

 冷戦が終わって十年が過ぎたが、ヨーロッパにとってこれほど喜ばしいことはないのかもしれない。ユーゴスラビアでミロシェビッチ大統領が退陣したことである。それもほとんど犠牲者を伴わない無血革命によって、それが達成されたのである。このユーゴスラビアにおける民主化は、ドイツ統一十周年とほぼ時を同じくして起こった。この十年のヨーロッパが決して間違っていなかったと、多くのヨーロッパ人たちは思ったことだろう。「一九八九年の反共産主義革命を思い起こさせるような激動の一日に、ユーゴスラビア権力の象徴である議会や国営テレビが、反政府のデモ隊に占拠され、これに対する警察の抵抗は徐々に弱まった」

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