国際論壇レビュー

ユーゴスラビアの希望とパレスチナの暗雲

 冷戦が終わって十年が過ぎたが、ヨーロッパにとってこれほど喜ばしいことはないのかもしれない。ユーゴスラビアでミロシェビッチ大統領が退陣したことである。それもほとんど犠牲者を伴わない無血革命によって、それが達成されたのである。このユーゴスラビアにおける民主化は、ドイツ統一十周年とほぼ時を同じくして起こった。この十年のヨーロッパが決して間違っていなかったと、多くのヨーロッパ人たちは思ったことだろう。「一九八九年の反共産主義革命を思い起こさせるような激動の一日に、ユーゴスラビア権力の象徴である議会や国営テレビが、反政府のデモ隊に占拠され、これに対する警察の抵抗は徐々に弱まった」

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執筆者プロフィール
田中明彦(たなかあきひこ) 1954年、埼玉県生まれ。東京大学教養学部卒業。マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了(Ph.D. 政治学)。東京大学東洋文化研究所教授、東京大学副学長、国際協力機構(JICA)理事長、政策研究大学院大学学長、三極委員会アジア太平洋地域議長などを経て、2022年4月より再び国際協力機構(JICA)理事長に就任。著書に『新しい「中世」―21世紀の世界システム』(サントリー学芸賞受賞)、『ワード・ポリティクス―グローバリゼーションの中の日本外交』(読売・吉野作造賞)、『アジアのなかの日本』、『ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理』など。
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