仏大統領選「ルペン・ショック」はなぜ起こったか

執筆者:渡邊啓貴 2002年6月号
エリア: ヨーロッパ

フランス大統領選の決選投票に極右候補が残るという前代未聞の事態。しかし、極右支持率は今回、急激に増加したわけではない。憂うべきはむしろ、極右現象がフランス社会に着実に根付いてきていることだ。[パリ発]五月五日、決選投票が行なわれたフランス大統領選挙では、共和国連合(RPR)のジャック・シラク大統領が八二・二一%というフランス第五共和制始まって以来の高い支持率を獲得して圧勝した。しかし、台風の目となったのは排外主義者の極右、国民戦線(FN)のジャンマリ・ルペン党首。ルペンは四月二十一日に行なわれた第一回投票で一六・八六%を獲得して、シラクとの決選投票に漕ぎつけたからである。

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執筆者プロフィール
渡邊啓貴(わたなべひろたか) 帝京大学法学部教授。東京外国語大学名誉教授。1954年生れ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程・パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校・ボルドー政治学院客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員教授、外交専門誌『外交』・仏語誌『Cahiers du Japon』編集委員長、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。最新刊に『アメリカとヨーロッパ-揺れる同盟の80年』(中公新書)がある。
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