[バンコク発]ミャンマー民主化問題は、軍事政権による民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー国民民主連盟(NLD)書記長(五八)の身柄拘束など一連の強権発動で、振り出しに戻ってしまった。スー・チー氏がNLDを旗揚げして間もない一九八九年七月に、当局によって国家破壊分子法違反で最初の自宅軟禁に置かれ、政治活動を禁じられた時とほぼ同様の状況で、実際のところ、これまでの十四年間、軍政とスー・チー氏の対立の構図はまるで変わっていない。むしろ、スー・チー氏が昨年五月に二度目の自宅軟禁から解放されて以降、互いの積年の憎悪が事態をさらに悪化させた。

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