インテリジェンス・ナウ

同盟強化やテロ対策までにらんだ米側の対日支援部隊

執筆者:春名幹男 2011年4月13日
エリア: 北米 アジア
米空母ロナルド・レーガンに乗艦し、救援活動の説明を受ける北沢俊美防衛相(右から3人目)とルース駐日米大使(同2人目) (C)時事
米空母ロナルド・レーガンに乗艦し、救援活動の説明を受ける北沢俊美防衛相(右から3人目)とルース駐日米大使(同2人目) (C)時事

 米軍が東日本大震災で、総兵力約2万人、艦船20隻、航空機100機以上を動員した「トモダチ作戦」。なかでも、福島第1原発事故に対する支援はテロ対策や日米同盟強化までにらんだ極めて周到な作戦だったようだ。  エネルギー省、原子力規制委員会(NRC)、さらに放射能対策の米海兵隊専門部隊に加えて、米中央情報局(CIA)などインテリジェンス部門からも専門家が日本に派遣されたと言われ、日米合同の震災対策は図らずも、朝鮮半島有事に備えたシミュレーションになったのではないかと元防衛省幹部は言う。  3月11日震災が発生、直後に原発の不調が伝えられると、オバマ米政権はその日のうちにNRCの専門家2人を東京に派遣した。  1人は、米大使館内に置かれた米国際開発局(USAID)中心の「災害支援対策チーム」内でNRC代表として配置。もう1人は日本語ができる原子力エンジニアで、日本側のカウンターパートである原子力安全・保安院側との連絡調整の任に当たった。  3日後の14日、日本側の協力要請を受けて、NRCはさらに11人の専門家を日本に派遣。エネルギー省からも15日までに、国家核安全保障局(NNSA)の専門家計39人が約8トンの機材とともに日本に着いた。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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