国際論壇レビュー

ビンラディン殺害がもたらした「暗くて重たい喜び」

執筆者:会田弘継 2011年5月19日
エリア: 中東 北米

 きっと1989年11月、ベルリンの壁を打ち壊した時のドイツの若者たちのような気持ちなのかもしれない――。米東部時間の5月1日深夜、オバマ大統領がウサマ・ビンラディン殺害を発表した後、ホワイトハウス前やニューヨークの世界貿易センター跡地「グラウンド・ゼロ」近くに集まり、歓喜の声を挙げるアメリカの若者たちの姿。「ひとつの時代が終わった」。そんな若者の言葉を伝えるニュース映像を見て、思った。
 彼らは物心ついてから、あるいは思春期から、ずっとテロの恐怖と戦争が続く中で生きてきたのだ。アメリカがこれほど憎んだ人物は、ヒトラー以来だろう。実際、5月5日発売の米誌「タイム」はヒトラーの死の時と同様、ビンラディンの顔に大きな赤い「×」をつけて、表紙に掲げた。

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執筆者プロフィール
会田弘継 関西大学客員教授、ジャーナリスト。1951年生まれ。東京外語大英米語科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを務め、現在は共同通信客員論税委員、関西大学客員教授。近著に『世界の知性が語る「特別な日本』』 (新潮新書)『破綻するアメリカ』(岩波現代全書)、『トランプ現象とアメリカ保守思想』(左右社)、『増補改訂版 追跡・アメリカの思想家たち』(中公文庫)など。訳書にフランシス・フクヤマ著『政治の衰退』(講談社)など。
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