国際論壇レビュー
ビンラディン殺害がもたらした「暗くて重たい喜び」
きっと1989年11月、ベルリンの壁を打ち壊した時のドイツの若者たちのような気持ちなのかもしれない――。米東部時間の5月1日深夜、オバマ大統領がウサマ・ビンラディン殺害を発表した後、ホワイトハウス前やニューヨークの世界貿易センター跡地「グラウンド・ゼロ」近くに集まり、歓喜の声を挙げるアメリカの若者たちの姿。「ひとつの時代が終わった」。そんな若者の言葉を伝えるニュース映像を見て、思った。
彼らは物心ついてから、あるいは思春期から、ずっとテロの恐怖と戦争が続く中で生きてきたのだ。アメリカがこれほど憎んだ人物は、ヒトラー以来だろう。実際、5月5日発売の米誌「タイム」はヒトラーの死の時と同様、ビンラディンの顔に大きな赤い「×」をつけて、表紙に掲げた。
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