増大する議会共和党への有権者の不満

執筆者:足立正彦 2011年8月12日
エリア: 北米

 連邦政府の法定債務の上限引き上げ問題で与野党が激しく対立し、デフォルト(債務不履行)の瀬戸際まで陥ったが、最終局面で何とかデフォルトは回避された。だが、債務上限引き上げ問題決着後に公表された各種世論調査を分析すると、一般有権者の議会共和党に対する信頼が著しく低下していることが鮮明になっている。

 今月4日に公表されたNew York Times/CBS Newsの共同世論調査では、1977年以降設定された米議会の仕事ぶりに関する質問事項で、実に82%もの回答者が「不支持」と回答した。この数字はクリントン政権当時の1995年に与野党が予算を巡り対立し、政府窓口が閉鎖された直後を上回る過去最高の数字である。債務上限引き上げ協議について回答者の多くが議会共和党は非妥協的と回答するとともに、72%が議会共和党の協議姿勢を「不支持」と回答し、議会民主党の協議姿勢を「不支持」とする66%を6ポイント上回った。オバマ大統領の協議姿勢を「支持」との回答は46%、「不支持」との回答は47%であったことを考慮すると一般有権者の米議会に対する不満がいかに強いかを理解することができる。

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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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