「2011」という年の世界史的意味

執筆者:池内恵 2011年12月31日

 「2011」という年が締めくくられようとしている。2011年は、日本人一般にとっては東日本大震災の年として何よりも記憶されるのだろうが、やはり私にとっては、ひたすら「アラブの春」に明け暮れた年だった。

 1年がたって、日本ではアラブ諸国の状況に関して懐疑的な声が多く見られる。それら懐疑的な声の根拠は曖昧でしばしば真意を把握しがたいが、総じて言えば「「革命」というが、政権が倒れただけで、いったい何が変わったのか?」という疑問と、「「民主化」と喜んだが、これまでにどれだけ民主的な体制が実現したのか?」といったものだろう。

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執筆者プロフィール
池内恵(いけうちさとし) 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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