オバマ米政権、情報予算も2ケタのカットへ

執筆者:春名幹男 2012年1月14日
カテゴリ: 政治 軍事・防衛
エリア: 北米

 3年前のオバマ米大統領の就任以来、米政府内では秘密文書が増え、情報公開が遅れている、とリベラル派から評判が悪い。
 しかし、オバマ政権が史上初めて情報予算の総額を公表したことは特筆していい。
 その額は2007会計年度635億ドル、2008会計年度704億ドル、2009会計年度762 億ドル、2010会計年度801億ドルとブッシュ、オバマ両政権をまたいで、大幅に着実に増えてきた。

 情報予算総額は国防予算の約1割、という大まかな不文律が守られてきたが、公表されたのはあくまで総額であって、全部で17ある情報機関の予算内訳はなお機密情報だ。
 米国防戦略を変えるほどの大幅な予算削減の荒波は当然、情報予算にも押し寄せてきた。クラッパー国家情報長官は昨年、「2ケタの情報予算カット」に言及した。だが、情報コミュニティは予算の一律カットといった愚は犯さないようだ。クラッパー長官によると、①将来的に価値のあるプログラムは継続する②一定の雇用は継続する③健全な研究開発を継続する―という方針。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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