消費税増税法案の閣議決定に伴う国民新党の分裂や小沢一郎元代表系議員らの役職辞任などで与党の混乱が続いた。だが、今回の騒動はこれからの政界激震の前座に過ぎない。真打ちは衆議院解散・総選挙をめぐる政局である。
増税法案の行方も民主党分裂や離党騒ぎも、すべて衆院選に絡む政治的思惑に左右される。当たり前のことだが、衆院選が今後数年間の政界の構図を決定づけ、次の政権の枠組みを決めるからだ。
「9月までには解散」
衆院選に向けた各党の帰趨を占うとき、重要ポイントのひとつは、「解散はいつか」という点にある。なぜなら、解散時期によって各政党および各候補者の利害が大きく異なるからである。
4月3日、大阪市の橋下徹市長が率いる「大阪維新の会」のブレーンの1人、中田宏元横浜市長が大阪府庁を訪ね、維新の会幹事長でもある松井一郎知事、維新の会府議会議員団代表の浅田均大阪府議会議長と会談した。議題の半分は同会が開講した「維新政治塾」の話だったが、残りの半分の話題は政局、とくに衆院解散についてだった。
中田氏「衆院解散がいつになるのか。われわれが一番気にしなければならないのはそこだ。7月から9月まで……8月か……。民主党代表選と自民党総裁選が9月までにあるんだから、それまでに解散があるのは間違いない。そう考えた方がいい」
松井氏「そうだね」
維新の会は衆院選候補について、現在集まった応募者を最終的に6月中に絞り込む構えでいる。逆に言えば、6月までに衆院選が実施された場合には、維新の会は準備不足のまま選挙戦に突入せざるを得ないことになる。
一方、中田氏が7-9月の衆院解散、その中でも8月に照準を合わせているのはなぜだろうか。
年度末の予算案採決などをめぐる国会の混乱による「3月解散説」、野党による通常国会会期末の内閣不信任決議案提出や消費税増税関連法案採決が引き金となる「6月解散説」、さらに民主党代表選と自民党総裁選が重なる時期を想定した「9月解散説」が、野田政権発足当時から政界ではささやかれていた。
このうち、3月の解散はすでに消えた。次に来るのが6月解散だ。中田氏はこの可能性を小さいとみているようだが、なぜなのか。
おそらく中田氏は通常国会の会期延長を視野に入れているのだろう。
通常国会後半戦の最大の焦点となる法案は、言うまでもなく消費税増税法案である。現在の民主党による国会運営は順調とは言い難く、この法案の審議入りは早くても5月の大型連休明けになるだろうと言われている。法案の閣議決定をめぐる民主党内の議論が大詰めを迎えていた3月下旬、民主党の加藤公一国会対策委員長代理は、増税をめぐる民主党内の抗争について、「党内のこんな混乱は大した影響はない。問題は国会審議に入ってからだ」と指摘した上で、法案の行方について、以下のように分析した。
「4月の審議入りは困難。その上、消費税を最初に導入した時には審議時間が80時間以上もかかった。今回はそれを上回ることになるのではないか。だけど、会期末までにそれほどの時間を確保するのは無理だ」
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