富裕税「劇場化」に失敗した仏オランド政権

執筆者:国末憲人 2013年1月15日

 フランスのオランド政権が目玉として打ち上げた富裕税の導入構想が、頓挫の危機に瀕している。法律の合憲性を審査する憲法審議会が12月29日、違憲の判断を示したからだ。政府は法案をつくり直す意向だが、「庶民派大統領」の象徴的イメージとしてこの新税構想を打ち出したオランド大統領の戦略が崩れかねない状況だ。


 富裕税は、100万ユーロを超える所得に対して75%を課税する構想。対象となるのは、実業家や芸術家、スポーツ選手ら、せいぜい1500人程度に過ぎない。税収増が目的というより、格差社会の中で庶民に寄り添う姿勢を見せるパフォーマンス要素の強い政策だった。

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執筆者プロフィール
国末憲人 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長を経て、現在は朝日新聞ヨーロッパ総局長。著書に『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)など多数。新著に『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)がある。
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