政治をゼロから考える (19)

司法権は「1票の格差」を解消できるか

執筆者:宇野重規 2013年5月1日
エリア: アジア

質問 「司法権の範囲はどこまで及ぶのでしょうか」

 

 ご質問をいただきました。最近1票の格差についての違憲判決が問題になっていますが、そもそも司法権の範囲はどこまで及ぶべきかという内容です。

 ここのところ、各地の裁判所による選挙の無効判決が続いています。結果として、衆議院の選挙制度を抜本的にあらためるか、それとも格差解消のためにとりあえず「0増5減」を先行させるかが、目下の政局の争点になっています。

  とはいえ、「裁判所が選挙の無効判決を下すということは、はたして無批判に受け入れるべきものなのでしょうか」。質問者の方はそう問いかけます。というのも、「無効となれば当然国政は混乱し、その影響は国民全般に及ぶわけですが、司法がその責任をとることはできない」からです(一部、字句を修正しました)。影響力の大きさを考えれば、司法権の及ぶ範囲にも限界があってしかるべきというご意見は、もっともであると思われます。  

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
宇野重規(うのしげき) 1967年生れ。1996年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。東京大学社会科学研究所教授。専攻は政治思想史、政治哲学。著書に『政治哲学へ―現代フランスとの対話』(東京大学出版会、渋沢・クローデル賞ルイ・ヴィトン特別賞)、『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社、サントリー学芸賞)、『〈私〉時代のデモクラシー』(岩波新書)、共編著に『希望学[1]』『希望学[4]』(ともに東京大学出版会)などがある。
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