年末年始をエジプトのカイロで過ごした。中東への渡航は三カ月ぶりだが、アラブ・メディアの論調は移り変わっていた。一月三十日に予定されるイラク国民議会選挙が近づくにつれて、現行の政治プロセスそのものを拒絶してみせる論調は影を潜め、武装勢力によるテロリズムを「レジスタンス」として称揚する傾向のあった周辺アラブ諸国の報道も沈静化している。 イラクの武装勢力が自らは姿を現さず攻撃の矛先をもっぱら無防備なイラク人に向けていることは、支持や共感の余地を狭めている。また、二〇〇四年十一月二十三日に主要八カ国(G8)と周辺国の閣僚を集めて開かれたエジプトのシャルム・シェイク会議で、イラク統治基本法とそれに基づく国連安保理決議一五四六に示された政治プロセスを追認したことは、周辺諸国が非協力を貫くことを難しくしている。
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