【ブックハンティング】「文化の魔術師」が解く日中韓ジャンケン関係

執筆者:平井久志 2005年5月号

 李御寧さんはやはり「文化の魔術師」である。『ジャンケン文明論』(新潮新書)では、われわれが慣れ親しんできた「ジャンケン」を通じて、私たちを取り巻く文化の過去、現在、未来をまた見事に分析してくれた。 西洋の子どもはコインを投げて何かを決めるが、アジアの子どもはジャンケンで決める。コイン投げには裏と表という相反する対立しかないが、ジャンケンではグー、チョキ、パーという三すくみの関係性の世界が広がる。 李御寧さんによる、こんな導入からして「なるほど」と思ってしまう。そして次第に古今東西の言葉や行為、概念を自由自在に引き出しながら展開される「李御寧ワールド」にはまってしまう。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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