『民間防衛』Zivilverteidigungスイス政府編原書房 1970年刊 一九八二年十一月、私はスイス・チューリッヒ市の「民間防衛局」をひとりで訪ね、市の中心部のウラニアにあるシェルター、つまり地下避難施設を見せてもらった。個人住居数戸単位のシェルターも見た。他の機会に、スウェーデンのストックホルムで、同国特有の岩盤層をくり抜いた巨大地下壕も見学したし、オーストリアや西ドイツでも類似の施設の設置事情を調べた。だが、チューリッヒの経験に優るものはなかった。それを一言で語れば、この世にかくも徹底したプラグマティズム(現実主義)があるのかという驚きだった。

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