ロシアによるウクライナ領クリミアへの軍事干渉は、まだ本格化していないとはいえ、ウクライナの分裂や東西の新冷戦につながる無謀な行為だ。プーチン政権には、2008年のグルジア戦争で欧米諸国は結果的に手を出せず、グルジア新政権が親露政策に舵を切ったという「成功体験」が念頭にありそうだ。
独立直後から分離志向
筆者はソ連崩壊直後にクリミアを3度訪れたことがあるが、当時、最大の産業である観光がソ連解体で大打撃を受け、経済は麻痺していた。ガソリンスタンドは長蛇の列で、街中にロシア通貨ルーブルへの交換を求める市民が並び、エネルギー不足でホテルも昼間はお湯が出なかった。黒海艦隊本拠地セバストポリも訪れたが、時代遅れの老朽船ばかりで、部隊の士気も弛緩していた。
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