北朝鮮「最高人民会議選挙」を読む(上)「大幅世代交代」より「権力安定」

執筆者:平井久志 2014年3月18日
エリア: アジア
 3月9日に行われた最高人民会議代議員選挙。投票所の様子 (C)AFP=時事
3月9日に行われた最高人民会議代議員選挙。投票所の様子 (C)AFP=時事

 北朝鮮の国会に当たる最高人民会議の第13期代議員(国会議員)を選出する選挙が3月9日に行われた。国会議員といっても、最高人民会議が開催されるのは年に1、2回程度であり、最高人民会議代議員という職責がどれほどの権限を持っているのか疑問ではある。しかし、北朝鮮の権力中枢に入っていく最初の関門が「最高人民会議代議員」で、いわば権力への「登竜門」だ。まず最高人民会議代議員になり、それから党中央委員になり、党政治局へ入っていくというのが権力の通常のコースだ。その意味で、最高人民会議の代議員から外れるということは、その時点での権力中枢から外れる場合が多い。最高人民会議代議員選挙はそういうバロメーターとしての意味を持つ。もちろん、代議員に選出されない「隠れた実力者」がいないわけではないが、それは例外ということだ。

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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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