「フリー・ステイト・プロジェクト(自由州計画)」という運動がニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストといった主要新聞に大きく取り上げられているのを見て、びっくりした。二年半ほど前のことだ。 南北戦争前に奴隷制を敷いていた南部の諸州に対し、奴隷制を認めていなかった北部などの州をフリー・ステイトと呼んだ。いまでもそんな区別が残っているのかと思ったら、違う話だった。 リバタリアン(自由至上主義者)を自任する人たちが「今日のアメリカはあまりにも政府の力が強すぎる」といって、州や自治体の力が小さい北東部のニューハンプシャー州へ移住計画を進めているというのだ。ちょうど、南北戦争前に、奴隷たちが解放を求めフリー・ステイトに脱出したように……。

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