クリミアへの旅(3)故郷にいられなくなった人々

執筆者:国末憲人 2014年8月11日
エリア: ヨーロッパ ロシア

 キエフが大阪程度の大きさの街であるのは以前お知らせしたが、異なるのはどこまで行っても行き止まりがないことだ。六甲山も、箕面山も、生駒山もない。はるかロシアまで平原が続いている。

 街の中心部から北西に車で走ると、30分ほどで市街地が途切れ、やがて一面の森となる。森の中にプシャ・ヴァディツァという街があり、子どもたちが集団合宿をするための施設が設けられている。緑に囲まれて立ち並ぶコンクリートの殺風景なビルの1つが、クリミア半島から逃れてきた人々の避難所として使われている。

 私が訪ねた5月下旬は、クリミア半島からの避難民の流出が相次いでいた。その主な行き先は、半島に近いウクライナ本土の街ではなく、首都キエフや、さらに西部の都市リビウだった。半島に近いウクライナ南部や東部にはロシア系市民が多いことから、これを避けてのことだと見られた。

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執筆者プロフィール
国末憲人 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長を経て、現在は朝日新聞ヨーロッパ総局長。著書に『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)など。
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