中東―危機の震源を読む
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「痛み分け」のレバノン紛争 将来への希望と危惧と
[カイロ発]七月半ばから八月半ばにかけてイスラエルとヒズブッラー(ヒズボラ=シーア派軍事・政治組織)の間で行なわれたレバノンでの大規模な戦闘によって、レバノン政治と中東の地域秩序にはどのような変化がもたらされたのだろうか。停戦後の外交や内政の動向を含めて、まとめてみたい。バランスを取るシニョーラ政権 まず、この戦闘で勝者は誰だったのか。アラブ諸国の世論では「ヒズブッラーが勝った」ということになっている。アラブ民族主義者は五十年前の英雄故ナセル・エジプト大統領と並べてヒズブッラーの指導者ナスラッラーの写真を掲げた。
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