2014年秋「平壌打令」(2)「経済改革」路線の定着を実感

執筆者:平井久志 2014年10月31日
エリア: アジア

 10月8日、平壌滞在2日目です。集合時間である午前8時50分の少し前に、ホテルの1階に行きました。われわれの案内員の金さんが待っていました。僕が「今日は金正日(キム・ジョンイル)総書記の党総書記就任日でしたね。何年就任でしたかね?」と声を掛けると、金さんが「平井先生は、当然、金正日総書記の総書記就任年は知っておいででしょう」と切り返してきました。僕が日本で書いた本の内容まで知っていそうな雰囲気でした。そう、1994年7月に金日成(キム・イルソン)主席が亡くなり、金正日総書記は3年服喪を掲げていたのですから、1997年10月8日が総書記就任日。今年で総書記就任から17年です。前日に在日朝鮮人の経営するレストランで食事をしていた時に、テレビが金正日総書記の「党総書記推戴17周年慶祝中央報告大会」を中継していました。基調報告は金己男(キム・ギナム)党書記が行い、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は出席していなかったようでした。

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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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