悪いことではない「分割政府」の出現

執筆者:田中明彦 2007年9月号
エリア: アジア

 参議院議員選挙で自民党が大敗し、民主党が参議院の第一党となり、いよいよ日本も本格的な二大政党制に近づいてきた。自民党を支持するか、さもなければ民主党を支持するというパターンが多くの有権者の間で定着してきたといってよい。過去十数年の政治改革の成果が現われたのであって、その意味で、日本政治は健全化しつつある。 さらにいえば、批判は多いが、安倍首相が早々に続投の考えを明らかにしたのも健全化の現われではないか。首相を決定する専権が衆議院にある以上、参議院選挙の結果がいかなるものになろうと、それによって首相の地位が影響を受けるべきでないという安倍首相の考え方は、現在の政治制度が想定している考え方だからである。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
田中明彦(たなかあきひこ) 1954年、埼玉県生まれ。東京大学教養学部卒業。マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了(Ph.D. 政治学)。東京大学東洋文化研究所教授、東京大学副学長、国際協力機構(JICA)理事長、政策研究大学院大学学長、三極委員会アジア太平洋地域議長などを経て、2022年4月より再び国際協力機構(JICA)理事長に就任。著書に『新しい「中世」―21世紀の世界システム』(サントリー学芸賞受賞)、『ワード・ポリティクス―グローバリゼーションの中の日本外交』(読売・吉野作造賞)、『アジアのなかの日本』、『ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理』など。
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