中東―危機の震源を読む (36)

中東の秩序を支えてきたエジプトが悩む後継問題

執筆者:池内恵 2007年12月号
エリア: 中東

 十一月三日に開幕したエジプトの支配政党・国民民主党(NDP)の党大会で、ムバーラク大統領が党総裁(任期五年)に選出された。 なぜこのことがニュースなのか。近年、イラクやイラン、レバノンなどの混乱や危機、紛争などの陰に隠れ、湾岸産油国の経済的繁栄にも注目が移り、エジプトは脚光を浴びることが少ない。しかしアラブ諸国の中で群を抜いた人口規模と分厚い中間層を抱えている、穏健で奥行きの深いエジプト政治の安定が、中東地域の秩序を根底で支えているものと筆者は考えている。 このエジプト政治の安定は、今後長期的に続くか、ついに動揺と大規模な変化の時期を迎えるのか。何事もなく執り行なわれたかに見える今回のNDP党大会も、息詰まる展開の一場面である。

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執筆者プロフィール
池内恵(いけうちさとし) 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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