経済の頭で考えたこと
(2)
イランを訪れて感じた「変化」へのかすかな兆し
二月のテヘランでは雪が降る。寒風は東京と変わらない。決定的に違うのは大渋滞の車の排気ガスである。ほこりっぽさとあいまって弱い人は気管支をやられるだろう。 二〇〇六年八月、〇七年十月に続く三度目のテヘラン訪問だったが、街の雰囲気に違いがある。国際社会との接触面を映すかのようだった。 〇六年の夏はテヘランに昂揚感が満ちていた。宗教者の歴史的施設が並んだ通りの電柱には、レバノンからイスラエルにひとあわ吹かせたシーア派イスラム勢力のヒズボラ指導者ナスララの写真が飾られていた。これではヒズボラの支援者はイランだと白状したようで、イラン政府の公式表明との差は大きかった。

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