饗宴外交の舞台裏 (131)

英女王来訪を待ちこがれたスロベニアとスロバキア

執筆者:西川恵 2008年12月号
エリア: ヨーロッパ 北米

 日本の皇族と同様、英国王室もエリザベス女王をはじめ王族が外国を訪問し、多角的に国際親善と友好を図り、英外交に大きく貢献している。この十月も、チャールズ皇太子夫妻が訪日する一方、エリザベス女王夫妻が中部欧州のスロベニアとスロバキアを国賓として訪問した。 英女王が両国を訪問するのは初めて。スロベニアは人口二百万人、スロバキアは五百四十万人の小国で、いずれも若い国である。スロベニアは一九九一年にユーゴスラビアから独立、スロバキアは九三年にチェコと分離、独立した。 エリザベス女王夫妻は二十一日、スロベニアの首都リュブリャナ入りした。同夜、晩餐会が開かれ、トゥルク大統領は「欧州で最も古い王室の女王を、欧州で一番若い国にお迎えできて大変光栄です」とあいさつ。女王は「独立後の貴国の目覚しい達成はバルカンの成功物語であり、他のバルカン諸国の模範です」と述べた。昨年通貨ユーロを導入、今年上半期に欧州連合(EU)議長国を務めたことを念頭に置いた内容だった。

カテゴリ:
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top