導入されれば、税制のみならず年金、社会保障制度、行政改革にまで影響を及ぼす可能性を持つ。最大の壁は、やはり霞が関――。 現実味を帯びてきた消費税率引き上げ論議の陰で、所得税の大改革がひそかに進行している。徴税業務と社会保障給付を組み合わせた「給付付き税額控除」がその「震源」で、与党に加え、民主党も実現に前向きな姿勢を示している。欧米では既に一般的な制度だが、導入が実現した場合、日本の税制はどう変わるのだろうか。 現行の所得税は、給与などの所得から基礎控除や配偶者控除など各種控除を差し引き、残った額に課税する仕組みだ。夫婦と子供二人の標準世帯の場合、所得総額が三百二十五万円を下回ると所得より控除額の方が大きくなり、所得税は発生しない。この境目を「課税最低限」と呼ぶ。

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