ブックハンティング・クラシックス
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「政権交代」で浮かれる前に読んでおくべき「民主主義」の名著
『アメリカのデモクラシー』トクヴィル著/松本礼二訳岩波文庫 2005年刊(原著は1835年、40年刊。他の訳に講談社学術文庫の井伊玄太郎訳『アメリカの民主政治』などがある)「過去はもはや未来を照らさず、精神は闇の中を進んでいる」――。 八月三十日、民主党圧勝の衆院選挙速報をテレビで見ながら、トクヴィルの名著『アメリカのデモクラシー』の一節を思い出した。いよいよ政権交代。日本の戦後民主主義も新たな局面に入るのか。それにしても「風が吹いた」などと、はしゃいでいる場合ではないだろう。日本の状況はまさに、トクヴィルが生きた十九世紀前半のフランスのような、混沌たる光景だ。

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