饗宴外交の舞台裏 (146)

米大統領夫人が体現する「ファッション民主主義」

執筆者:西川恵 2010年3月号
エリア: 北米

 米国のファーストレディー、ミシェル・オバマ夫人(四六)の装いが、最近、「ファッション・デモクラシー」というキーワードで語られている。 ファッション民主主義――この意味するところは「ハイ・アンド・ロー」、つまり特定のブランドに偏らず、高額なものも、安価なカジュアルも、またアヴァンギャルド(前衛)も、ミックスして自分のファッションに取り入れることだ。さらには一般庶民が真似できるファッションという意味もここには込められている。 最近、著書『ミセス・O ファッション・デモクラシーの顔』を出したモード評論家のメリー・トマーさんは「庶民はファーストレディーの装いに憧れながらも、これまでは手が届かなかった。しかしミシェル夫人の服は価格的に手が届くものが多い。夫人の着た服を人々も着るのが流行で、こんなことはかつてなかった」と語る。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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