人は、電話がかかってくることを期待しながら、携帯電話を持つ。誰かが今、自分を必要としているのではないか、誰かが電話をかけてくるのではないか、と思いながら。 そんな人の数が、二〇〇二年には「十億人」になるという。世界最大の携帯電話会社、ノキア社のオリラ会長兼CEOが昨年十二月に発表した見通しである。 十億人! ベルリンの壁が落ちる前のOECDの全人口に匹敵する。現在、世界人口は六十億人だが、子供を除くとほぼ四人に一人の普及率になるというのだ。すさまじい商品である。 ちなみに、一九九九年末の世界の携帯電話普及台数は四億五千万台と、未だ五億台にも届いていない。だが携帯はインフラの整備が比較的容易なために、途上国では固定電話より普及が早いとの調査結果もある。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン