金融再生の道を拓いた金融再生委員会が、ここにきて姿勢を一八〇度転換した。発足一年にして早くも栄光の時代は過ぎ去ったのか。変質の背後に政治と行政の矛盾が覗く。 日本の金融システムの「救世主」とまで評された金融再生委員会が、大きな転機を迎えている。発足から一年、二〇〇一年一月六日の廃止までの中間地点を過ぎて、委員長は「改革派」の柳沢伯夫氏から「守旧派」の越智通雄氏へとバトンタッチし、再生委員会に対する評価も称賛から非難に変わった。預金の全額保護の特例を終了させる「ペイオフ解禁」を巡っては、結果的に延期させる狂言回しとなり、あれほど断固たる意志で臨んでいた金融機関の破綻処理についても、いまや及び腰になったと批判される。その名が示すように、金融再生のために生まれたはずの再生委員会は、なぜここまで変質してしまったのだろうか。

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