国際論壇レビュー

影響力を強める反グローバリゼーションNGO

執筆者:田中明彦 2000年5月号
タグ: 紛争
エリア: 北米

 国内では北海道・有珠山の火山活動がおさまらず、依然として危険な状態が続くなどいくつかの問題があるが、世界的にみるといまのところそれほど大問題は見あたらない。政権についたばかりの森喜朗首相にとって、サミット前に自己紹介をするために行なった世界一周旅行の最中、大きな決断を迫られることがなかったのは幸いであった。

 七月のサミットまでに、世界的な重大問題が起こらないという保証はない。その場合、サミット議長国としていかなる定見のある対応をとるのかは、政権を担当する人々にとって常に心しておいてほしいことである。さらに、突発事態が起こらないにしても、二〇〇〇年という節目の年のサミットにおいて、世界の中長期課題にどのように取り組むかは、議長国としての日本の責任でもある。その意味でも、総選挙を控えた内政重視の季節ではあっても、政権を競う各政党には、それぞれ世界的問題への各党なりのビジョンを是非真剣に構築し、国民の前に示してほしい。

カテゴリ: 社会 政治 カルチャー
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執筆者プロフィール
田中明彦(たなかあきひこ) 1954年、埼玉県生まれ。東京大学教養学部卒業。マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了(Ph.D. 政治学)。東京大学東洋文化研究所教授、東京大学副学長、国際協力機構(JICA)理事長、政策研究大学院大学学長、三極委員会アジア太平洋地域議長などを経て、2022年4月より再び国際協力機構(JICA)理事長に就任。著書に『新しい「中世」―21世紀の世界システム』(サントリー学芸賞受賞)、『ワード・ポリティクス―グローバリゼーションの中の日本外交』(読売・吉野作造賞)、『アジアのなかの日本』、『ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理』など。
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