帰国子女 天谷きみこ『とんでったブーメラン』

執筆者:船橋洋一 2000年11月号
タグ: 日本

〈一九六二年七月二十二日、私たち家族五人は、ムシ風呂のような暑さの日本を後に、いよいよオーストラリアへ向けて出発した。 通産省からシドニー領事として赴任する夫と、それに同行する妻の私と、三人の子供たちである。長男太郎は小学四年生、長女由紀子は小学二年生。ふたりともちょうど一学期を終えたところであった。そして、次男次郎はまだ二歳六か月〉 夫(後の通産審議官、天谷直弘、一九九四年死去)は別として、天谷きみこも子供たちも外国に行くのは初めて。飛行機に乗るのも初めてだった。 一つ、心に決めてきたことがあった。日本人の塊の中で暮らすことはすまい、オーストラリア人の中に溶け込んで生活しよう。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
船橋洋一 アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長。1944年北京生まれ。東京大学教養学部卒。1968年、朝日新聞社入社。朝日新聞社北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長、コラムニストを経て、2007年から2010年12月まで朝日新聞社主筆。米ハーバード大学ニーメンフェロー(1975-76年)、米国際経済研究所客員研究員(1987年)、慶應義塾大学法学博士号取得(1992年)、米コロンビア大学ドナルド・キーン・フェロー(2003年)、米ブルッキングズ研究所特別招聘スカラー(2005-06年)。2013年まで国際危機グループ(ICG)執行理事を務め、現在は、英国際問題戦略研究所(IISS)Advisory Council、三極委員会(Trilateral Commission)のメンバーである。2011年9月に日本再建イニシアティブを設立し、2016年、世界の最も優れたアジア報道に対して与えられる米スタンフォード大アジア太平洋研究所(APARC)のショレンスタイン・ジャーナリズム賞を日本人として初めて受賞。近著に『フクシマ戦記 10年後の「カウントダウン・メルトダウン」』(文藝春秋)、『自由主義の危機: 国際秩序と日本』(共著/東洋経済新報社)、『地経学とは何か』(文春新書)、『カウントダウン・メルトダウン』(第44回大宅賞受賞作/文春文庫)など著書多数。
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