【今月の2冊】 政官財キーマンの証言で綴る「バブル」迫真のドキュメンタリー

執筆者:Foresight 2000年11月号
タグ: 日本
エリア: アジア

「最初の危機はしのげても、二度目の危機は予兆を軽視した咎も加わり衝撃は倍加する。第一弾の公的資金投入で小康を取り戻したかにみえた日本の金融システムは、一九九八年春、日本長期信用銀行の経営不安をきっかけに再び崩壊の淵に立った」(日本経済新聞社編『検証バブル 犯意なき過ち』日本経済新聞社刊 一六〇〇円) 国際政治学者の故高坂正堯氏は、本誌に連載した「世界史の中から考える」の中で「バブルで亡んだ国はない」と述べている。バブルは三流の国が一流に手が届こうとするときにおこるものであり、肝要なのはその後の対処をしっかり行なうことだというのが、高坂氏の主張だ。その際に絶対にしてはならないのは「後ろ向きの対処」だという。高坂氏がそう述べたのは一九九三年だが、それから七年以上が過ぎた今日、依然として日本はバブル崩壊後の長期的な不況から抜け出せないでいる。しかも、痛みを伴う構造改革のほとんどは先送りされたままだ。

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