インテリジェンス・ナウ

重信房子と石油業界を結ぶ知られざるコネクション

執筆者:春名幹男 2001年6月号
エリア: アジア

 湾岸戦争からことしでちょうど十年。敗北したはずのサダム・フセイン・イラク大統領はなお強権体制を維持し、皮肉にも、石油輸出国機構(OPEC)内での石油価格の動向を左右する力は以前より増した。 他方米国では、湾岸戦争に大勝利したはずのブッシュ(父)大統領が翌年の大統領選挙に敗れたものの、長男がことし大統領に就任し、時代に逆行するとも思えるエネルギー大増産政策を発表した。田中真紀子外相の指摘を待たずとも、ブッシュ家は石油資本との関係が深い。 この間、日本では何が起きただろうか。昨年二月末、アラビア石油(小長啓一社長)はサウジアラビアの自主開発油田の採掘権を失い、次は二〇〇三年一月に期限切れを迎えるクウェートとの石油権益更新交渉の開始が決まった。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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