トヨタ自動車が本社を東京から愛知県豊田市に移転する「三河回帰」計画が、昨年九月の米テロ事件の影響で揺れている。移転の是非をめぐる議論は白紙に近いところまで戻されたといい、今後も「計画は頓挫する要素をはらむ」(トヨタ関係者)。地元・愛知では固唾を呑んで見守っている。 移転は「九分九厘まで決まっていた」既定路線。経営陣でただ一人の反対派は米国トヨタ社長などを歴任した社内きっての国際派、石坂芳男副社長とされる。海外部門、渉外、広報部門など約千人が働く東京本社(文京区)が移転すれば、「国際ビジネスができなくなる」との持論を展開していたのだ。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン