「ごとき不況」というそうだ。「竹中平蔵ごときにいいようにされてたまるか」という「ごとき」である。不良債権処理の内容より先に、竹中平蔵という人物への感情的なわだかまりが、この問題をいっそう厄介なものにしている。人間は感情の動物で、その人間が寄り集まってできているのが社会だから、無視できない。 大手銀行のトップを集めた席で金融担当大臣竹中平蔵は「本日は金融改革について意見を伺いたい」と述べるだけで、新聞に報道されている不良債権処理の内容についてまったく明らかにしなかった。「何かご提案があるのかと思っておりましたが」といぶかる銀行のトップに竹中は「いいえ、何もまだ決めておりません」と言ったきり、腕組みしてだまり込んだ。

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