戦火のイラクでロシアが漁る機密文書

執筆者: 2003年5月号
エリア: 中東 ヨーロッパ

 ロシア軍参謀本部諜報局(GRU)の要員十数人が、バグダッドでフセイン政権の機密文書の入手を図っている。最大の狙いは、国連制裁に違反するイラクへの武器輸出や、石油利権をめぐり、事実上の賄賂として外国政府や企業からフセイン大統領周辺に流れた資金の記録。最近バグダッドを陸路脱出したロシア大使一行が一部の文書を持ち帰った模様だ。 GRUは資金提供者のリストに、米国系資本の企業やフランス政府高官が含まれているとの情報を入手しており、これを機密文書で裏付けることを狙っている。 戦後のイラクをめぐっては、石油利権などを獲得するため激しい外交戦が展開される見通し。ロシアのプーチン政権はこれに備えて、米国企業などのスキャンダル情報を入手したい考えとみられる。また、ロシアの石油企業や軍需産業からも巨額の資金がイラクに提供されたことも確実なため、プーチン大統領には自らの政権下での不正の証拠隠滅を図る必要もある。

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