饗宴外交の舞台裏 (65)

ルーマニア王子が日本外交に投げかけた難問

執筆者:西川恵 2003年6月号
エリア: ヨーロッパ

 ルーマニアのラドゥ王子が五月九日までの十日間、日本を初訪問した。ルーマニアは共和政体でありながら旧王族の国政参加に道を開いたばかりで、日本政府に「君主制でない国の旧王族をどう遇するか」という儀典(プロトコール)上の難問を突きつけた。 ラドゥ王子は日本滞在中、遠山文部科学相、土屋外務政務官らと懇談する一方、「ルーマニアの外交と国家安全保障」というテーマで講演するなど精力的に各界の人々と交流した。肩書は「ルーマニア政府特別代表」だが、日本人にルーマニアをより知ってもらい、投資、貿易を促進するのが目的のいわゆる親善大使。欧州、中東諸国以外で訪れたのは日本が初めてで、日本への期待が窺われた。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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