国際論壇レビュー

対北朝鮮「六者協議」に交錯する思惑

執筆者:田中明彦 2003年9月号

 夏にはいり、国際情勢は拡散した動きが続いている。そのなかでは、やはりイラク、朝鮮半島が大きな問題と位置付けられよう。イラクで統治評議会が成立したが、依然として不安定な情勢が続く。朝鮮半島では、北朝鮮が六者協議の開催に同意し、核開発問題の進展に、狭いとはいえ、ある種の道筋がみえてきた。 東南アジアではフィリピンでのクーデター騒ぎ、ジャカルタでのテロなど不安定な動きが続く一方、カンボジアでの選挙が滞りなく行なわれるなど、積極的な動きもみえる。中国はどこまでコミットするか 北朝鮮をめぐる問題のなかから浮かび出てきた一つの焦点は、中国外交の存在感であった。四月に北京で行なわれた三者協議も、このたび北朝鮮がその開催に合意することになった六者協議も、中国外交の一つの成果とみなすことができるからである。

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執筆者プロフィール
田中明彦(たなかあきひこ) 1954年、埼玉県生まれ。東京大学教養学部卒業。マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了(Ph.D. 政治学)。東京大学東洋文化研究所教授、東京大学副学長、国際協力機構(JICA)理事長、政策研究大学院大学学長、三極委員会アジア太平洋地域議長などを経て、2022年4月より再び国際協力機構(JICA)理事長に就任。著書に『新しい「中世」―21世紀の世界システム』(サントリー学芸賞受賞)、『ワード・ポリティクス―グローバリゼーションの中の日本外交』(読売・吉野作造賞)、『アジアのなかの日本』、『ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理』など。
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