過般のASEAN首脳会議以降、ワシントンがアジア重視路線を打ち出し、ミャンマー政権が従来の親北京路線からの転換とも思われる動きを見せ、さらにクリントン米国務長官がミャンマーを訪問し反軍事政権=民主化の象徴的存在でもあるアウンサン・スー・チー女史と抱き合ってみせるなど、中国の南進に対する警戒感が顕著になりつつあるようだ。こういった情況を「中国の興隆、米国の衰退」ではなく、「米国諸同盟の興隆」と看做す向きもあるようだが、それは希望的観測に過ぎないとしかいいようはない。じつは「米国諸同盟の興隆」に関係なく、ソフト、ハードの両パワーによる北京の南進は続く。

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