政治をゼロから考える (6)

なぜ政党が必要なのか

執筆者:宇野重規 2012年9月24日
タグ: 日本
エリア: アジア

質問 「政党はなぜ必要なのですか」


 ここのところ政党に関する記事が多くなっていますが、いま一度「政党とはなぜ必要なのか」について考えてみたいと思います。これだけ政党の離合集散を見せつけられると、いったい政党とは何のためにあるのかと考えてしまいます。こんな政党しかないのなら、いっそのこと無くなってしまった方がすっきりするという人もいるはずです。
 ひょっとしたら、政治家自身もそう思っているかもしれません。党議拘束の話題の際にも問題になったように、時として政治家は自分の意に反する党の決定にも従わなければなりません。民主主義においては「数の論理」が重要であるとはいえ、自分の考えを自由に表明したい、採決のたびに意見を同じくする議員と手を組めば十分なのではないか。議員の本音もそんなところにあるのかもしれません。
 もちろん、長いものに巻かれていたいという政治家も多いでしょう。それどころか、どこの党でもいいからともかく多数派に属したい、政権党でさえあればそれで十分だという声も聞こえてきます。そのような政治家にとってみれば、与党でない政党など、政党の名にも値しないということになるのでしょう。
 このような政党の理解にはどこか問題がありそうです。とはいえ、このような理解のどこがおかしいのか、はっきりと説明せよといわれると、ちょっと困ってしまうのも事実です。問われているのは、政党とは何なのかという本質論なのです。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
宇野重規(うのしげき) 1967年生れ。1996年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。東京大学社会科学研究所教授。専攻は政治思想史、政治哲学。著書に『政治哲学へ―現代フランスとの対話』(東京大学出版会、渋沢・クローデル賞ルイ・ヴィトン特別賞)、『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社、サントリー学芸賞)、『〈私〉時代のデモクラシー』(岩波新書)、共編著に『希望学[1]』『希望学[4]』(ともに東京大学出版会)などがある。
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