11月、石巻市の牡鹿半島を何度か訪ねた。昨年3月11日の津波で集落という集落が壊滅し、約1.2メートルもの地盤沈下が起きた浜々は、がれきの山が消えて岸壁は真新しいコンクリートでかさ上げされ、主産業である養殖ガキの水揚げ、出荷が始まっていた。ほとんどの浜は津波により、膨大な数の種ガキを、いかだもろとも流された。漁業者たちは生業を続けるか否かの厳しい選択を強いられ、船や資材、新たな種ガキ購入のための借財を抱えて、仮設住宅から、まさしくゼロからの再出発をきった。
カキ初出荷にこぎ着けた福貴浦

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