ウクライナ「流血デモ」は「オレンジ革命」と何が違ったか

執筆者:国末憲人 2014年1月29日
エリア: ヨーロッパ
 ついに流血の事態に…… (C)EPA=時事
ついに流血の事態に…… (C)EPA=時事

 2004年暮れ、ウクライナ大統領選の不正解明を叫ぶ群衆が首都キエフの中心街を埋め、親欧米派のユーシェンコ政権を誕生させた。その「オレンジ革命」から9年あまり。やはりキエフの中心街を群衆が埋め、親ロ派大統領ヤヌコビッチの退陣を迫った。しかし、今回は様相が異なった。流血の事態となり、キエフの一部は無政府状態といえるほど治安が悪化し、国内諸都市にも混乱が広がった。

 前回と今回で何が違ったのか。その背景を探ると、ソ連崩壊から20年以上を経てなお、社会主義体制から民主主義への移行に苦しむウクライナの姿が見えてくる。

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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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