死を想う

執筆者:六車由実 2014年9月6日
カテゴリ: 社会 カルチャー
エリア: アジア

 7月25日金曜日、今年も狩野川灯籠流しに参加した。灯籠流しについては、本連載第2回に書いたように、送り盆の行事として行われる精霊流しの一種で、沼津市では毎年7月下旬に市内の中心を流れる狩野川で大勢の人が参加して灯籠流しが行われているのである。すまいるほーむでも、この行事に昨年から参加していて、今年で2年目になる。でも、今年の灯籠流しは、私たちにとって昨年にも増して特別な夜になったように思う。昨年は、利用者さんたちに亡くなられた身内の方の名前を書いていただいた灯籠をスタッフが携えて流しに行ったのだが、今年の灯籠流しには、希望する利用者さんたちも連れて行くことができたのだ。ご詠歌の響き渡る川面に、ゆらゆらと揺られて灯籠が川下へと流れていく、あの幻想的で感動的な光景を、利用者さんたちにも見せてあげたい、それが昨年来の私たちスタッフの願いだったのである。

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執筆者プロフィール
六車由実(むぐるまゆみ) 1970年静岡県生まれ。民俗研究者。デイサービス「すまいるほーむ」管理者・生活相談員。社会福祉士。介護福祉士。2008年に東北芸術工科大学准教授を退職し、静岡県東部地区の特別養護老人ホームの介護職員に転職。2012年10月から現職。「介護民俗学」を提唱し実践する。著書に『神、人を喰う』(第25回サントリー学芸賞受賞)、『驚きの介護民俗学』(第20回旅の文化奨励賞受賞、第2回日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞)。
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