饗宴外交の舞台裏 (107)

中国の複雑な胸中も覗いた安倍首相への“もてなし”

執筆者:西川恵 2006年12月号
タグ: 中国 安倍晋三
エリア: アジア

 安倍晋三首相は十月八日、一泊二日で北京を訪問し、胡錦濤国家主席らと会談した。中国は安倍首相をどう瀬踏みしていたのか。そのもてなしから推測してみよう。 一連の行事と会談をこなした夜、人民大会堂で温家宝首相主催の晩餐会が開かれた。そのメニューである。 〈料理〉 前菜 燕の巣のスープ 伊勢海老ニンニク炒め マツタケと野菜炒め 牛のアキレス腱醤油煮込み クルミ入り焼きパイ 点心(デザート) 水果(フルーツ) 〈飲みもの〉 長城干紅〇二年(赤ワイン) 長城干白〇二年(白ワイン) 中国の歓迎宴の基本は、デザートを別にして、スープ一品と料理四品の「四菜一湯」。ゲストによって品数を増やすが、安倍首相は「四菜一湯」の基本構成。比較的あっさりした軽めの内容である。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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