テロリストの誕生(11)カラシニコフ銃の数奇な由来

執筆者:国末憲人 2015年7月4日
エリア: ヨーロッパ 中東

 アメディ・クリバリと協力者のアリ=リザ・Pが何度も出かけたベルギー南部シャルルロワは、都市圏人口が50万に達し、同国のフランス語圏で最大の都市である。ベルギーにはブルージュやヘント、アントワープなど古い街並みで知られる観光地が少なくないが、シャルルロワはそうした魅力に乏しい。労働者の街で、かつて炭鉱都市として栄え、その後は鉄鋼やガラス加工、印刷業が盛んになった。

 クリバリは運転免許証を持っておらず、取得したのはテロ直前の昨年12月になってからだった。だから、アリ=リザの協力を得ないと移動できなかったのである。

カテゴリ: 政治 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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